「いつか晴れた日に―分別と多感―」― Sense and Sensibility ―
画像のクリックでアマゾンへ
さわりのあらすじ
ダッシュウッド夫人は夫の死によって未亡人になると同時に、住み慣れた家から出て行かなければならなくなります。
なぜならダッシュウッド夫人は後妻であり、遺言で財産の多くが先妻の息子ジョンに相続されたので、住んでいた家もジョン一家の
ものとなってしまったからでした。
ジョンは父の遺言に沿ってダッシュウッド夫人を援助していくつもりでしたが、ジョンの妻ファニーが強欲であったため、
結局ダッシュウッド夫人と三人の娘達はろくな財産も得ないまま、バートン荘へ越すこととなりました。
ある時、ダッシュウッド夫人の上の二人の娘エリナとマリアンがバートン荘周辺を散策していると突然雨が降り出し、
家に駆け戻ろうとしていたマリアンは転倒してしまいます。
そこに二匹の猟犬を従えた美男子が颯爽と登場。彼はマリアンを抱きかかえ助けます。
これをきっかけに、美男子ウィロビーとマリアンは当然のように激しい恋に落ちていきました。
一方、長女エリナは分別のある女性だったので多感なマリアンのように大袈裟に気持ちを表すことはありませんでしたが、
互いに気持ちを通じ合わせる男性がいました。
自分達を住み慣れた家から追い出した張本人ともいえるジョンの妻ファニー、彼女の弟のエドワード・フェラーズがその
人で、エドワードには強欲な姉に勝る強欲な母親がおり、エリナとエドワードの仲は認められていませんでした。
物語は分別的な行動をとるエリナと、情熱的なマリアン、二人の波乱に見舞われる恋の行方をたどっていきます。
解説のようなもの
「分別と多感」は紹介させて頂いたジェイン・オースティン6作品の中でも、最も早く書かれた作品です。
「分別と多感」を読み、「高慢と偏見」「マンスフィールド・パーク」とオースティン作を製作順におっていくと、彼女の文章からどんどん
贅肉が落ち、簡潔でシャープな文章になっていくのがわかり興味深いのですが、
反面「分別と多感」は作家ジェイン・オースティンとして完成されていない、未熟な部分が多々見受けられると私は感じるので、
オースティン他作品を読んでいない方にはお勧めし難い一冊でもあります。
「分別と多感」には他作品に比べてもかなり多くの人物が登場します。
そしてどの登場人物もオースティンらしくリアリティーと皮肉を込めた人物になっているのですが、
この作品の“嫌なヤツ率”はかなり高め。
出てくる人、出てくる人、問題ありで、いかにオースティンが辛辣であった筆を作品を重ねるごとに和らげていったかがわかります。
またそれらの登場人物の描写も
彼女は無知、無教養で、知的鍛錬が不足し、ごく一般的な事柄にも疎いことは、いくら偉そうにしても、エリナの目からは隠しおおせなかった。
という風に超辛口。オースティンの厳格っぷりがよく示されていて、この後に「エマ」なんて読むと
(人は齢をとるほどに丸くなるって本当だな〜)なんて感じてしまいます。(私だけか^^;)
もちろん「分別と多感」が作家として成長過程の作品だからといって、つまらない内容であるわけでは全然ありません。
物語のスケールは他作品と比べても大きく、ストーリーの展開も二転三転に大ドンデン返し。
最初に書かせて頂いた「さわりのあらすじ」以降のエリナとマリアンの大波乱恋愛模様には、二人の姉妹と一緒に
なってぐったりなってしまうほど。
終盤の大ドンデン返しはエリナと一緒に倒れること請け合いです。
ヒュー・グラントが情けなく可愛い☆ |